これは天狗と虫と星が織り成す一大記
天狗道場きっての怠け者である飯綱丸龍はある日の夜、奇妙な事件の存在を聞かされた。
信濃国北部の峰々において力のある妖が次々に消えているというのだ。
かつて出奔した故郷であり最初こそ気乗りしなかったものの、龍は新旧の縁に絡め取られ、妖を消して回る何者かの調査を余儀なくされる。
川の流れのような巨体でありながら正体不明、人ならざるものの感覚でさえ容易に捉えることのできない謎の存在に龍は翻弄されるが、いくつもの傍証を得てとうとうその正体に辿り着く。
昔話にも大いに語られるこの恐るべき魔物を、果たして怠け者天狗は退治できるのか。