『クロスファイア 1』[宮部 みゆき (著), 藤森 ゆゆ缶 (イラスト)/メディアファクトリー]

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宮部みゆきは国内作家の中では私的別格で、その中でもクロスファイアは五本の指に入るほどのお気に入りでありまして。先月の中ほどに本屋さんで並んでいるのを発見、ゆえに確保せずにはいられませんでした。

まず断っておくのですが、宮部氏の小説を他媒体で、原作と同レベルで描ける人なんていない! とかなり強い確信をもって思っています。

そのことを前提としてでの評価なのですが、私が触れた中での宮部みゆき作品のメディアミックスではこれまでで一番出来が良かったと思います。クロスファイアは映画版もあれはあれで別解釈としては面白かったのですが、漫画版は尺の長い原作のエッセンスを的確に抽出しつつ、内容も雰囲気もほぼ損なわないで描かれてて、余程原作を読み込んで、愛してるのだなというのが伝わってきました。青臭いといわれようが、やはりメディアミックスや二次創作は愛あってこそだと思うのです。宮部作品が好きなので、ここまでがっつりコミカライズしてくれるのは、少し涙が出そうになりました。あの有名なモフォーファンをほぼ公開日に見に行った人間としては……。

出てくるキャラが必要以上に二枚目だったり、エログロの描写が少し過剰だったりする(ただ、普通に描けば同程度の厳しい描写は普通発生するはずで、あれほどの残酷を気持ち悪さを感じさせず、しかし酷さをきちんと描き出す宮部氏の描写が神めいて凄いと言うべきなのでしょう。あれだけ健全な感性を持ちながら一流の小説家であれることが、私にとっては憧憬に値します)ところなど首を傾げる部分もそれなりにあったりはしたのですけれど、原作好きとして、漫画好きとして満足のいく一冊でした。続刊も楽しみです。

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