エピローグ

 

「へえ、そんなことがあったんですか?」

感心したような声をあげるのは、祐一さんだ。

「で、それからはどうしたんですか?」

「そうですね……」

私は遠い昔の記憶を手繰り寄せる。

「あれから私と長森さんで、柏木さんを宿に連れて行ったんです。朝になったら、彼女はいなくなってました。置き手紙を残して」

「置き手紙?」

「ええ。何処のどなたか存じませんが、迷惑を掛けましたって一言だけ。でも驚いたわ、あの人があの鶴来屋の社長夫人だったなんて」

「社長夫人?」

「大分後になって知ったんですけどね……その、彼女が夫と共に死んだという記事を見た時……」

「えっと、その、ちーちゃんって人ですか?」

「いえ……私が早とちりしてたんですよ、それは。彼女は今、鶴来屋の会長だそうです。つまり柏木さん、娘さんの夢を見てたんですよ」

私の言葉に、祐一と名雪はきょとんとした顔をしている。

「変な話ですよね」

「それで長森さんはどうしたの?」

今度は名雪が尋ねてくる。

「何度か葉書が来たわよ。私からも何通か送って……それだけ」

「これ、結婚式の写真?」 と名雪。

「二枚あるけど」 と祐一。

「これはですね、こちらの方が長森さんとその夫の結婚式の写真。で、こっちがその一人娘の瑞佳さんとその夫の折原さんって人」

私はそう言ってから、非常に重要なことを思い出した。

そう、また彼女に葉書を送らなければならないだろう。

そこに移っているのは、ウェデイングドレスを着た名雪と、タキシードを着た祐一さん。

その姿がまざまざと浮かんで来るようで、私はクスリと笑った。

Fin


あとがき

ということで、六月は憂鬱な花嫁たちの祭典をお送りしました。
このSSはちょっと……捻ってます。
エピローグを見て、どのような思いを抱いたか……是非とも感想欲しいです。

というわけでこのSSは名雪SSではなくて秋子SSというのが正しいですね。
名雪にしては妙に口調が丁寧なので、分かった方もいるかもしれませんが……。

この話は、先日見た夢が元となっています。
夢は、名雪と瑞佳と千鶴がヒロイン談議をするというけったいな夢でした。
それが巡り巡って……シリアスSSになってました。

では、また別の話で会いましょう。

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