(暗闇の中、スポットライトかせ一つ点く)


 (看板を持った少女、登場)


 (周囲を見回しながら、こちらに視線向ける)



 『 シーン3 〜問題編〜』



「はぁ、わたしの出番、これで終わりだよぉ……」

「気にしちゃダメだよ、水夏ちゃん。こんなしょうもないSSにヨゴレ役で出ても、将来の役者生命に傷がつくだけだよ。こんな仕事は露出オッケーな先輩ヨゴレ芸人さんたちに任せなきゃ」

 余計なお世話です。てか、いつの間に役者に。

「(無視)さぁ、問題編、はじまるよっ♪」

「もちろん、そんなの名ばかりで単なるギャグですからね〜〜〜」









 風間家 午前九時半



「こっ、これはっ」

「まさか…………」




 『Ka○on』 〜思い出に還る物語〜



 あ〜り〜が〜とう〜〜〜
 いわないよ〜〜〜


 雪、雪が降っていた

 思い出の中を真っ白い結晶が……




「こ、これは…………」

 えー、地の文で言ってしまうと、PCゲームの某K○nonですね、ええ。
 その白いパッケージが床の上に転がっていますね。

 ほらそこ、もう、この時点でこのSSの今後がほぼ運命付けられてしまったとか言わないでさぁ。

「なに、これ?」

「さぁ……、ゲームのようですねぇ」

「よく見てみなさいよ!
 その……普通のじゃないんだからっ」

「へ? どこが? 蒼司くんわかる?」

「う、僕からは言いかねますね……」

 なぜ躊躇う。上代蒼司くん17歳(推定)。
 まぁ、君に限らずどのゲームの登場人物ってみんな年齢がやば(以下国家公安を恐れて削除

「むむっ? ここにならやら怪しいマークがっ」

 いちいち解説されるとそれはそれでかなり恥ずかしいモノがあるのですがどうでしょう。作者もそろそろ手が震えてきたようですし。

「ははぁ、じゅうはちきんってかいてますね……」

「……ようやくおわかりになった?」

 なぜか疲れた様子の小夜さん。

「でも小夜ちゃん、彰くんも小夜ちゃんも18歳以上(推定)なんだし、別に問題無いんじゃないの?」

 そう言ったとたん、小夜さん髪の毛かきむしって立ち上がり、

「カーーーっ!! あんた生意気よぉっ! 年下のくせに蒼司くんとらぶらぶでとっくに初体験も済ませちゃってるからってぇぇぇっ!! あたしなんてコイツが鈍感なせいでまだゼンゼン進展ないし、それでちょっとは不安も感じなきゃならないしそもそも進展させようとしたから今日もわざわざ境内の掃除を口実にデートに連れ出そうとせっかく来たのよっ! それでこんなもん見つけちゃったらショックじゃないのっ! 
てゆーか二次元ってとこがダメ!ダメダメなのよっ!二次元はダメなのよぉォォォっっっっ!!!


 …………。


「(僕たちも二次元の……)」
「(しっ。蒼司くんそれ言っちゃダメだってば)」
「(しかしなんであそこまで二次元に拒否反応起こしますかね)」
「(ネンネちゃんだから?)」
「(先輩、また古い…………いてっ)」

「(……あのな、おそらくだが)」

「(彰先輩、漫才空間にようこそ)」

「(全くコイツラは……
コホン……。えとな、小夜さ、なんかこの前伊月の遺品整理してたら、小夜曰く『トンデモナイ二次元ノモノ』をごっそり見つけたらしくてさ、驚いてそれ捨てたら、一週間ほど謎の霊魂に夢枕に立たれて苦しんだらしいぞ……)」

「(はぁ……伊月さんも執念深いんだねぇ)」
「(それより僕はその『とんでもない』内容のほうが気になりますが)」
「(ああ、俺も……)」

「コラ! なにひそひそ話してんのよっ!」

「「「ごめん」」」



 で、なんやかんや騒いだあげく、時間も経って落ち着いて……


「でもさー、何度もいうけど、俺ほんと心当たりないんだって」

「フンっ! あたしは疑いを晴らしたわけじゃないんだからねっ」

「しかし……、彰先輩じゃないとしたら、いったい誰がこんなもの持ち込んだんでしょうね……」

「やっぱ彰なんじゃないの? なにせこの中じゃ唯一のパソコン持ちで都会人。都会の穢れた空気をこの聖地に持ちこんでるのよ! 
悪霊退散! きぇーーーーっ!!!

「都会……。確かに、謎のミステリーゾーン。
どんな怪しいものがあっても不思議じゃないわ……

「先輩はなんちゃって都会人、ですけどね」

「テメェら、都会に住んでたからってそこまで村八分にするか……(涙」

 そろそろ泣き入ってきたんで、誰か弁護してあげてください。

「まぁまぁ、小夜さん。冷静に考えれば、先輩が犯人じゃないのは解りますよ」

「なんでよ」

「いいですか? このソフト、見たところ買ったばかりの新品のようで、開封や移動をした形跡がありません。それを考えると……、彰先輩はいくら『元』都会人とは言え、所詮は都落ちしてここへ来た出戻り芸人。着の身着のままで亡命してきた北からの難民に贅沢できる資金なんてありませんよ。まぁ、パソコンは後で実家からかっぱらってきたようですが。おばあさんがアパートの大家だからといって、そこに住んでるのは僕みたいな料金滞納当たり前だけど
いつも笑顔を絶やさぬ村内のアイドル兄弟とか、問題ある人間が僅かにいるだけです。彰先輩の小遣いなどは、日ごろ入り浸ってる僕の目から見ても絶望的なのは明白ですし、まさかまかり間違ってもパソコンのソフトなんて買える訳はありませんね。なにせバイト代目当てに神社の手伝いもしてたぐらいでこの前は腹減らして僕の家にあがりこんで……」

「わーーーーーー! もうやめんかーーーーーいっ!! 余計なおせわじゃぁぁぁぁ!」

「なるほど! それもそうね……彰には無理か」

「ほら、納得してくれて良かったじゃないですか」

「その引き換えに俺は何か大切なものを失った気がするぞ?!」

「事実を認めずして成長はないそうですよ。まぁ、村屈指の貧乏青年として二人で明るく生きていきましょう」


「ワタシナイテルノ? コレハナミダ? ハハハ…………」


 あ、とうとう壊れた。




「まぁ、めでたく容疑も晴れたところで」

「そう! 次は真犯人の究明だね、蒼司くん!」

(こんな楽しそうなチャンス、逃してられないもんね)

「俺もこんなことした奴は、シバいてやりたいな」

(せめて、小夜から殴られた分ぐらいはな)

「当然、滅殺するんだから!」

(悪の汚染源を広めた保菌者め、浄化してやる!)


「皆さんからの不純オーラは無視して、さて彰先輩。そもそもアレを手にいれた状況は? まさか、突然棚の中に生えていたわけでもないでしょうし」

「ああ、それがな、気がついたら鞄の中から生えていたんだ」

「「はあ?」」

「おいおい、そんな「フカシこいてんじゃねぇワレ」って顔しないでくれよ。詳しく言うとだな、昨日か、夜、鞄整理しようと中のぞいたら、なぜかそれが入ってたんだよ」
「外出用にいつも持ち歩いてた鞄だから、どっかでなにか入れられた可能性は多いと思う。まさか家に入り込んでカバンの中に入れてるわけはないし。中身開けた記憶は最近ではあんまりないな。でも、そんなほったらかしでもなかったし、入れられたとしたらここ数日だろうな」

ここ数日の外出の履歴を教えてもらいましょうか、彰さん(キラーン」(さやか)

「……。えと、いま冬休みだし、家でごろごろしてた時間が多かったけどな、目立った外出といえば……、母さんから晩飯の買い出し頼まれてるのはほぼ毎日だな。夕方に商店街まで出かけてるぞ。それと小夜の通院の付き添いにおとつい行ったっけ。あ、昨日あいつん家に寄っていったっけ……」


「ふむ、だとすると…………」

「フフッ、推理するまでもありませんね。証言通りだとすれば、犯人はもはや明白!」

 自身ありげだね、蒼司くん。

「むー、こんな簡単な問題じゃあ、名探偵さやかの出番ではなかったようね……」

「って、おまえらそんな簡単にわかったのか?」

「鈍いわよ、彰」

 がびーん。
 ワカラナカッタノボクダケ?

「えーとですね、ごにょごにょ…………」

「あー!! そうかそうか、確かに犯人はアイツで確定だな! よし!」



「じぁ、さっそく警視庁白河捜査班の強制捜査といきましょう!」


 今度は警察?!


「返事は?!」


「「「…………了解」」」



 意外とあっさり犯人は捕まるのか?


 とぅびぃこんてぃにゅー♪




 次も読んであげます

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