シーン4 〜解決編?〜




 午前十時 稲葉屋敷



「稲葉宏! 逮捕する!!」


「捜査員は目ぼしいものは全てダンボールに入れろ!」


「そのパソコンは重要物件だ! 慎重に梱包しろ!」



 稲葉家の中は捜査員に埋め尽くされ、己の命運を悟った容疑者は呆然と立ち尽くし……


「って、あんたらいきなり家に押しかけてなにやってるんだよ! しかもその制服ホンモノだし!」

「駐在所から事情を話してかっぱらってきたんですよ」

「矛盾してるぞ、その発言」

「ちっ、バレましたか」

「華子もなんでこんなあからさまに怪しいヤツら部屋通すんだか……」

「いや、面白そうだから」

 ……やっぱり。


「て言うか、いったいなんなんだ、このパフォーマンスは」

「む、この後に及んでシラをきりますか」

「……白河さん。俺、なんかやったっけ?」

「なかなか強情だね、稲葉くん」

「隠し立てしても無駄よ、証拠は挙がっているんだから! 
彰を悪の道に誘った真犯人! さ、蒼司くん、逮捕状を読み上げてやって

「小夜さん、
逮捕状は無いんですけど……、さて、では真相に至った理由を述べましょうか」


「ひとつ。容疑者は周囲で知らぬものは居ないヘンタイである」

「ああ?!」

「ふむ、なるほど」

 うなずかれてます。華子さんに。


「ふたつ。稲葉家はこの辺じゃあいちばんの金持ちで当然パソコンも持ってる」

「まぁ、一応部屋にあるけど」


「みっつ。容疑者はこの村じゃ知らぬものは居ないロリコンである!」

「ブッ!」


「ははははははは! そりゃもっともだねぇ!」


「よっつ! 容疑者は引き篭もってなんか怪しいとのもっぱらの噂!」

「風評被害だ! それは!」


「そして最後! 被害者Aは一日前、容疑者宅に訪問している!」

「Aって彰か? おまえ、厚かましくも暖房ある部屋で休憩しに来ただけじゃないかよ?!」


「以上の状況証拠を鑑みるに、容疑者稲葉宏が昨日、被害者の鞄に『危険なブツ』を混入した事は明白! さあ、おとなしく白状しなさい!」

うわっ、眩しい! なにやってんだよ、蒼司」

「効果で懐中電灯をあててみました」

 演出も考える、万事抜かりのない蒼司くんなのでした。

「そりゃともかく、言われたようなことは全く身に憶えがないぞ! だいたい『危険なブツ』っていったいなんなんだ?」

 ほらこれ、このPCソフトです。

「なんだそれ? 誰の?」

「ええい、お黙り! こんな
明らかなロリ絵が好きそうなヤツなんてあんたぐらいのもんじゃないの?! このペド男!

「小夜に殴られたぶんの恨み、返してやる……」


「だーーーーっ!! 違う違う冤罪だ冤罪だ!」


「なにが違うんですか、道行けば後ろ指さされるご町内の有名人さん」

「あら〜〜〜あの人、どこぞからかどわかした銀髪の女の子と不純なことしてるらしいですわよ。恐いわねぇ」

実の妹にも手を出したそうですよ。しかも夜は「ご奉仕するにゃん♪」とか言わせているらしいですね」

「だめだめだねぇ。これはいっそ本当に通報したほうが……」


「わーーーっもぅ、変人カップルに言われたくないやい! だいいち無理なんだって! 知らないなら教えてやるけどさ、俺のこの家での立場わかってる?」

 目に燃え上がる危険なオーラ。

「華子が今までの家の使用人ほとんど全部追い払ったもんだからさ、今この広い家の雑用全部俺なんだぞ?! のんびりゲームする暇なんてない! そもそも財布の紐みーんな華子に握られてんのに、どーやってゲームなんて買うんだよ。万が一懸賞かなんかで当たったものだとしても家の郵便物とかみんな検閲されてんのに! 俺に自由を返せっ! 引き篭もってんのも家事雑用にこき使われてるだけだし、この前もお嬢の部屋に遊びに行こうとしたらメガホンで殴られたし!」

「そりゃあんたが夜這いかけようとしてたからだよ」

「いや、そうなんだけどさ……」

「…………
(じとっ)

 いや、認められても、ねぇ。
 四方からの冷たい視線に晒される稲葉宏(別の意味での)容疑者……。


「なるほど、話は良くわかったが、宏、キサマがぶち死にたいと言うこともよくわかったぞ。
 ……後で『爽やかコース』だな(ニヤリ」

「や……、ゃ、……お、お、おゆるしぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 ひぇぇ……ご愁傷さま。

 しかし『爽やかコース』ってなんなんでしょう? わかんないけど、しらない方が身のためだと本能で理解する一同なのでした。




 そして結局、捜査は振り出しに……。


「ぅぅ…………俺もついてくぞ……」

 あらあら、宏くん、なんかボロ雑巾のようなズタボロ具合ですが。

「災難でしたね」

「って、あんたらが変なこと言ってきたせいだろ!(泣」

「あなた、ほんとに華子さんのシモベなのね…………」

「頼むから、言うな、それを……。それにみんな似たようなものじゃないかっ」


「「?」」

「「うっ……」」


「みんなって誰かな? 小夜ちゃん?」

「さあねぇ?」


「(うう、稲葉、そうだよな、他人事じゃないよな……)」

「(無邪気な視線が痛いです、先輩……)」


 それにしても、水夏の女>男の法則は、資金力の面からでも明らか?
 1〜2章は明らかな逆玉で、3章は一応金持ちだけど、肝心の相手がお金に不自由してそうでもなし、4章に至っては主人公は単なる姉の家畜で。
 頑張れ、ゴールインしても尻に敷かれ続けることが確定しそうな男性陣……。


 そんなこんなで、次はいよいよ真相に鋭く推理のメスが切り込む!



 『次回予告!』


「今度こそ、犯人がわかったわ!」

「論理は真実を導きます!」

「犯人は…………」


「『ヤス』って言ったら、人間的に500ポイントほど減点ですよ。先輩」


「え゛え゛ーーーっ、そんなぁ……」


「本気でまた言おうとしてたんですか!」


(注意!)犯人はヤスではありません! ←あたりまえです




 とぅーびーこんてぃにゅー♪


 次も読んであげます

 とっとと戻ります