第十一話 『空中遊泳』の鍵(解決編3)

「先程のやり取りって、今までの推理に意味があったのか?」 上田が驚いたように言う。 「単に、推理小説の真似事でもしてるのかと思ってたが……」

「いいえ、それなら単刀直入に犯人の正体を指摘しました。それをせずにわざと、回りくどく追い詰める口調で話をしたのは、ある人の反応を見るためでした」

「ある人の反応?」

「ええ……」 佐祐理が躊躇いつつも答えた。 「もし考えが正しければ、その人はこちらの想像した通りの反応を取る筈だと考えたからです」

「成程、名探偵は意味のない推理ショーを好むが……」 権田は皮肉を込めた笑顔を浮かべる。 「推理を披露することに意味を持たせるとは……面白いな」

「確信があったわけじゃないんですが……上手く言ったのは運が良いからです」

そう断りを入れてから、佐祐理は言葉を続けた。

「今まで、殺人が鎖のように起き、三件の事件が起きてしまいました。もう、鎖をばらばらにして、二度と復元しないようにしてしまいたいです……。

まず事件のことを話す前に、一つ断っておかなければいけないことがあります。それは、第三の事件が、第二の事件と同じように、衝動的に行われた殺人だということです」

「まあ、それは理解できるな」 上田が顎を擦りながら言う。 「だが、その前提で何が分かるんだ」

「犯人が特定できるんです」 佐祐理はきっぱりと答えた。 「少なくとも、犯人は第二の事件が起きたことを知ってから、犯行の準備をしたんです。そんな短期間で、さも密室であるかのように部屋から脱出し、嫌疑を逃れようと考えました」

「かなり、頭の回転が良いな」 高宮が感心するように頷いた。

「そうですね。或いは、もう少し時間があれば、完全に罪を誤魔化すようなことすら考えることができたかもしれません。それは許されないことですが……。

第三の事件で考えなければいけないことは、どうやって犯人が秀一郎氏の部屋から抜け出したかということでした。ドアは鍵が掛かっていましたよね。窓の鍵は開いていましたが、雪の上には足跡一つ付いていませんでした。

しかし、犯人はどうにかして脱出しました。では、犯人はドア、窓、どちらを使って逃げたのでしょうか?」

「普通に考えれば窓だよな」 上田が即答する。 「だって、鍵が開いていたんだ。そちらから逃げたと考えるのが普通だ。ミス・ディレクションの可能性もあるけど」

「いえ、犯人は窓から脱出したんです……ある道具を使って」

「ある道具? 道具を使って何とかなる密室なのか?」

「はい。犯人はドアから逃げたのではありませんし、窓から外に出て雪の上を横切り何かの方法を使って痕跡を消したのでもありません。中でも外でもないということは、道は一つなんです。つまり、犯人は上に逃げたんです……それしか考えられませんでした」

「上だって?」 意表を突く答えだったのだろう、上田は大声で叫んだ。 「だけど、どうやって?」

「ロープです。犯人は上からロープを垂らし、それに捕まって壁伝いに這い上がり、足跡を付けずに部屋から脱出したんですよ」

ロープを使う……突拍子もない所から出てきた意見に、今日何度かの沈黙が訪れた。

「けど……」 次に口を開いたのは成海だった。 「そんなに都合よく、人間の体重を支えられるロープなんて手に入るものなの? 第一、そんなものを持ち歩くなんて不自然じゃない」

「ええ、そう思います。けど不自然だからこそ、犯人が分かってしまうんです。普通、自分の体重を支えられるような頑丈なロープなんて持っていませんよね。けど、今回の場合はそれが存在したんですよ。登山用具の備品という形で……そうですよね、高宮さん」

佐祐理が名指しした人物に、全員の集中が集まる。

「高宮さんは、雪山登山ができると思い込んで、今回の旅行に登山用具を持ってきましたよね。登山用具の中には、人の体重を支えられるような頑丈なロープがある筈ですよね。犯人はそれを用いて、真上に逃げたんです」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ」 佐祐理の言葉に上田が待ったをかける。 「じゃあ、倉田さんは、こいつが……やったって言いたいのか?」

高宮を親指で指す上田に向けて、佐祐理は大きく首を振った。

「いえ、違います……あの、言い方がまずかったですか? えっと、佐祐理は登山用具に頑丈なロープが入っているかということを確認したかっただけなんです」

「入ってる」 高宮は素っ気無く言った。 「人を支えるくらいなら、容易いもんだ。そのために作られたロープなんだからな」

「けど、浩がそれを持ってるんだったら、やっぱり……」

「いいえ、高宮さんには犯行は不可能ですよ。第二の事件が起きた後に、犯行を起こそうとロープを取りに行こうとしても高宮さんにはそれを取り出すことは不可能なんです。登山用具が入ったリュックは、車の中に入っていたんですから。

それに、ロープを使って上に登るのは、犯人の部屋が秀一郎氏の真上に無ければ無理です。つまり犯人は、車の鍵を持った人物、被害者の部屋の上に泊まっていた人物……そうですよね、半田さん」

この言葉こそが、本当の告発だった。それと共に、今まで向けられていた視線が、今度は沈黙を続けていた半田の方に向けられる。

「半田さん……貴方が秀一郎氏を殺して、自殺に見せかけたんです」

もう一度、池に石を放るような静かな口調で言う。

「私が社長を殺した……成程、確かに倉田さんが話した通りなら、私が怪しいかもしれませんが」

半田は自らが犯人だと名指しされた後も、丁重な口調を崩さなかった。

「それは、単なる絵に描いた餅、机上の空論だよ。私がそれをやったという証拠は無い……」

「状況証拠ならありますよ」 佐祐理は間髪入れずに答える。 「つい先程、倉木さんの殺害現場がどこかというので、全員の部屋を探しましたよね。その時、半田さんの部屋だけ調べたんです。もし佐祐理が考えている通りだとしたら、ベッドの四隅のどこかにロープで縛った跡が見付かると思ったんです。

あの部屋で、人間の体重を支えられるものと言ったらベッドが一番良いですよね。ベッドは頑丈で、相撲取りが乗っても壊れそうにないくらいです。調べて見ると、微かにロープで擦った跡がありましたよ」

「それは……以前に掃除している最中でぶつけたとか、その可能性だってある筈だよ」

「まだあります。半田さん、あなたは秀一郎氏の部屋に入る時、まだ助かるかもしれないと言っておきながら、その次には死体だと言い切ってますよね。それはどうしてですか?」

「それは言葉の綾だよ。第一、何故私が社長を殺さないといけないんだ。まさか、扱いが悪いとか納期が短いとか、そんなことを言い出すんじゃないだろうね」

半ば諦め口調で受け流す半田に、佐祐理はぴしゃりと言った。

「復讐です」 そして、こう付け加えた。 「あなたは倉木さんを殺した秀一郎氏が許せずに、殺人という最終行為に及んでしまった……そうでしょう」

佐祐理は顔に熱を帯びたような表情をしていた。反対に半田はその言葉によって、張り巡らされた虚勢が一気に削がれているのが目に見えて分かった。顔が蒼ざめている。

「ちょ、ちょっと……それって」 噂の主だったせいだろうか、御厨が思わず声をあげた。

「半田さんと倉木さんが親しい関係だなんて、そんな……だって、ここに来てからそんな素振りなんて全く見せてなかったですよ」 早口でまくし立てる御厨。 「本当ですか、半田さん」

半田は蒼ざめた顔を保ち、目を虚空へと泳がせていた。だが、大きく溜息を付くと、撞きものがとれたかのように穏やかな表情に戻った。

「参ったな、そこまで推理されたんじゃお手上げだ」 半田は素直に賛辞の句を述べた。 「御厨くん、倉田さんの話したことは本当だよ。そして、私が社長を殺した……」

その告白は潔いと同時に、真相を知らない人たちへの衝撃は大きかったに違いない。上田は目を大きく見開き、高宮は驚きの表情を露わにしていた。成海は両手で顔を覆い、御厨はぽかんと口を開けていた。その中で権田だけが、冷静にその事実を受け止めていた。

「だが、何故分かった?」 半田は佐祐理に質問する。その顔は、佐祐理が話を始めてから一番落ち付いていた。 「私はどこでボロを出した?」

「半田さん、倉木さんの名前を呼ぶ時に何度か詰まることがありましたよ。ただ、その時はそんなことは気に止めてませんでした。けど、その前から何だかおかしいなって思っていたことがあったんです。深くは考えなかったんですが……。

半田さんが秀一郎氏を殺したのかなと漠然と分かった時、そのことも分かったんです。それは、このロッジまで運転してきた時に交わした会話でした。あの時、御厨さんが倉木さんと秀一郎氏の……その、関係について話を始めましたよね。

あの時、上田さんと成海さんはその話に半信半疑でした。話を振った御厨さんもそうですよね。高宮さんが黙っていたのは、話に対する保留だと考えられます。誰も、二人の関係について確信は持っていなかったんです。

けど、あの時半田さんは『それはないよ』とはっきり答えました。それはないよという言葉は、そんなことがないと強い確信を持っている時だけです。そのことを思い出して、分かったんです。もしかしたら、半田さんと倉木さんは親しい間柄にあるのではないかって。

そのことを確かめるために、つらつらと話を始めました。そして思った通り、半田さんは倉木さんが不利になると庇うようなことを必ず言いました。その態度を見て、確信できたんです」

「成程……」 半田は感慨深げに呟いた。 「そんな些細なことから、そこまで推理するとは……凄いな、私の浅知恵など太刀打ちできないわけだ。じゃあ、私がやってきたことも大体把握してるんだね」

「ええ……半田さんは倉木さんを庇うために幾つか嘘を付きました。まず、峰子夫人を部屋に呼びに言った時、倉木さんの部屋のドアを最初にノックしました」

「ああ、その通りだ」

「そこで返事が無かったので、次に峰子夫人のドアをノックしました。そこですぐに返事があったので、食堂に戻りました。その時は、峰子夫人の部屋から聞こえてきた声を疑っていませんでした。けど……これは想像なんですが、倉木さんは夕食の前に一度、半田さんの部屋を訪ねませんでしたか?」

「あってるよ。倉木さん、いや、もう偽る必要はなかったんだったね。光は私の部屋に訪ねて来たよ。『昼前に、貴方が部屋に呼びに来たでしょう?』と、そんなことをわざわざ聞いてきた。それで、少しおかしいとは思った。だが、その時は気にも留めなかったよ。

だが、後になって殺人が起きたと知って、もしかしたら光が殺人について後ろめたいことを隠しているのではないか……そんなことを考えた。それで、色々と頭を巡らせたよ……それは先程倉田さんが話してくれた推理と同じようなことだった。

だから、光を庇うために最初彼女の部屋のドアを叩いたことは誰にも話さなかった。と同時に、私は全員に向けて自首を促すフリをした。本当は、光に向けての言葉だったんだ。もし、殺人を犯したなら自首して欲しかった。そうすれば、罪も軽くなるから……でも、結果は見ての通りだった。そして、光がスタンド・プレイに走るのを見て、疑惑が確信に変わった……」

「じゃあ、半田さんは彼女が罪を犯したことに気付いていたんですね」 上田が複雑な表情を、半田の方に向ける。 「だが、それなら何故、話してくれなかったんですか?」

「それは……確かに責められるべきことだな。私はやはり、光に自首して欲しかった。だから、集まりが解散した後で、彼女の部屋に言って密かに説得する予定だったんだ。まさか、その間に光が殺されるなんて……夢にも思わなかった!!」

半田は語尾を吐き捨てるように言うと、大きく顔を歪めた。

「しかも、よりによってあんな場面を見ることになるなんて……」

「あんな場面?」

「秀一郎氏が、倉木さんを彼女の部屋に運ぶ場面ですか?」 佐祐理が何かを耐えるようにしている半田に変わって言った。 「あの時、何もないと言ったのは嘘ですね」

「ああ、そうだ。あの時、微笑を作るのにどれだけ苦労したか……それは誰にも分からないだろうね」

半田は自虐的に言うと、再び溜息を付いた。

「そうか、倉田さんはあの時の私の言葉が嘘で、その裏に隠されていた部分を知っていたからこそ、死体を運んだのが十時前だとはっきり断定できたんだね……」 

「はい。事件が明らかになって死亡時刻がはっきりする前に、倉木さんを殺したのが秀一郎氏だと分かるためには、どこかで直接その場面を目撃していないといけません。そうでなければ、犯人を秀一郎氏一人に絞って犯行に移ることは不可能ですから。そこから逆算して考えたら、半田さんが犯行を見ることができたチャンスはその時しか考えられませんでした」

「そうか……」 半田はあくまで穏やかに言った。 「ああ、そんな場面を見てからはね。もう、気がきじゃなかったよ。社長が直接ここにやって来た時は、喉から言葉がでるのを必死で押し込めた。そして、半ばは冷静にやっているフリをしたんだ。

そして会が解散になった後、皆が寝静まった頃を見計らって……あれは深夜二時頃だったよ。足音を忍ばせて、ゆっくり一階へと降りて行った。はやる気持ちを抑えてゆっくり、ゆっくりと……。

光の部屋のドアは開いていた……照明も付けっぱなしで、ヒータが予想以上に利いて、中は蒸し風呂みたいだった。丁度社長がアリバイを作っている最中だったんだろうね、不審に思って中に進み……あの時はもう、寸前の所で吐いてしまうところだった。

私の最愛の女性が、無惨な姿で死んでいたんだ。それと同時で、廊下に顔を出した時に見た光景の意味が瞬時に理解できたよ。犯人の正体がはっきりと分かった。そして社長が何をやりたいのかというのは、転がっていた時計を見て分かった。それは丁度十二時近くを指していた。

私はその部屋で、どうしようかとしばらくの間考えた。怒りと憎しみに満ちた頭で考えたよ。あの男をどうやって葬ってやろうかとね。どうせなら、彼に全ての罪を着せて殺してしまおうと考えた。そうすれば、光が殺人を行ったことも隠すことができる。

私はまずヒータのスイッチを切り、窓を開けて寒気を部屋の中に入れた。次に時計の時間を元に戻し……これは死体が運ばれた時間から適当に逆算したよ。

次に、光の荷物を探った。そこには脅迫状の第二枚目と、もう一本のナイフがあった。多分、社長を殺害するために予め用意したんだろう。最初はそのナイフを犯行に使おうかと思ったが、それはまずいと考えた。もしナイフが二本とも犯行に使われたとすると、購入した店や場所がすぐに割り出されるかもしれないと思ったからね。

そうすれば、光が準備したナイフだと感づかれる可能性が高い。だから、そのナイフは犯行に使わず、雪の中に処分した。探せば見付かるだろうが、凶器が別のものだと分かっている以上、わざわざ雪の中を掘り進めてまで探索することはないだろうからね。

二枚目の脅迫文は光の死体に添えて、これが連続殺人に見えるようにセッティングした。それから台所で凶器となる包丁を失敬し、ひとまず部屋に戻った。私には考えなければいけないことが一つあったからだ。社長を自殺に見せかけて殺すには、できれば密室に見えれば都合が良い。そうすれば光を殺害した何らかの証拠が残っているだろうから、警察も自殺とみてくれるだろうと考えた。

だが、ドアから鍵を通す方法ではすぐにばれてしまうし、他の方法は思い付かない。まさか、他人に相談する訳にもいかない……それで、無情にも時間だけが過ぎていった。外を見ると、雪もやみかけていた、その時ふと思ったんだ。窓の外に雪を残さずに立ち去ることができれば、密室に見せることができるんじゃないかってね。

そして、ロープの存在を思いだし、これならばと思った。それから、本当にそれが可能かどうかを何度も頭の中で計算し、そして実行に移した。車の鍵を手に取ると、私は車に置かれてある登山用具からロープを一本拝借した。それから後ろ向きで行きの足跡を踏むようにロッジまで戻った。

そして、ベッドを窓際に寄せ、その脚の一つにロープを結び付けて下の階へと垂らした。一階と二階を一往復半も進むのはかなり緊張したよ。でも、やってしまえば後は社長を殺すことだけだった。その時は、自分でも驚くほど冷静にやれた……そのことが、今になると恐いくらいだ。

私は社長の部屋のドアを軽く叩いた。最も、近くに生きてる人間は誰もいなかったんだから……何も躊躇する必要はなかった。不機嫌そうに顔を出す社長に、私は犯行を見たことを単刀直入に話したよ。そして、下卑た顔で金銭を要求するフリをした。

思った通り、長い話になると思った社長はベッドの端に腰掛けた。私はそれを狙って、社長に包丁を叩き込んだ。驚愕の顔をして倒れていく姿は、私を俄かに興奮させたよ。ああ、仇をとったんだなって実感が手から入り込んでくると共に、どす黒い何かが胸に満たされるようだった。

それからは、簡単だった。包丁を逆手で持たせて、切腹に見せかけるのに手間はいらなかった。それから予め垂らしてあったロープで私の部屋へと這い上がり、ロープはすぐに回収した。しかしこれだけでは、トリックはまだ不完全だ。気を抜くことは許されなかった……」

長い告白だった。しかし、半田の言葉から察するに、まだ話には続きがありそうだった。その淡々とした口調は、逆に少し不気味に見える。殺人犯の告白を聞くのだ、それも当然だろうが……。

「しばらくすると、隣の部屋から上田くんが出ていく音が聞こえた。これで食堂に顔を出すチャンスは整ったが、すぐに出ていくと怪しまれると思い、少し待った。それから高宮くんも部屋を出たので、私もしばらくして部屋から出た。

そして、二人に車の雪を落とすのを手伝って欲しいと頼み、私は少し先に出た……先程付けてきた足跡に沿ってね。車内を確認するフリをして隠し持っていたロープをリュックに戻す、これで最後の痕跡も消えて足跡の無い殺人は成し遂げられた筈だったんだがね……」

半田は最後をそう締め括ると、力なく笑って見せた。

「このロッジには名探偵が出た。私の悪事を皆、暴いてしまうほどの力を持ったね。もしかしたら、これも運命だったのかもしれない……」

「運命なんてありませんよ」 佐祐理は、悲しそうに口を開いた。

「誰かが死んだり、あまつも殺したり、憎んだり、悲しませたり……そんなことは運命だなんていっちゃいけないと思います。例え運命だったとしても……見苦しくもがいたら、結果だって変わるかもしれません。半田さんだって、殺人以外の道を見付けることだってできたと思います」

「倉田さん、君は優しい」 半田はまるで、親が子供に見せるような表情を向けた。それは犯罪者の顔とは全く異質のものだった。

「確かに、殺人なんて道を選ばなくてもすんだとのかもしれない。いや、どす黒い意識に支配されてても、心の奥では何度もやめようとストッパをかけようとした。あんなものを見付けるまではね」

「あんなもの? それは、何ですか?」

「死者の告白……遺書だよ、光のね」

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