『ノーライフキング』[いとうせいこう/河出文庫]

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伝説の作品ということで以前から興味があり、勧める声も(実際に勧められたのはワールズエンドガーデンなのだけれど)あったので、さらりと読める薄さだったので、手に取ってみたのでした。

都市伝説が口コミネットワークとパソコンを絡めて広がる序盤から中盤のくだりで、インターネットの予見性に驚いている人もいるのだけれど、それはゼロ年代というよりも寧ろ、口コミが馬鹿みたいに素早く全国伝播していた当時を色濃く反映させているだけで、そこにはさして先見性は認められないというのが私見です。

私が凄いと思ったのは後半の展開で、現実とネットが等価となり得る価値観を描き出したこと。電脳世界設定が普通になってきた現代においてさえ、ここまで二つがシームレスに描かれているのは珍しいかも。電脳コイルほどじゃないけれど、感覚を占有する器機なしですからね。

コンピュータの世界は日進月歩で、古くさくなってしまった部分も多々あるのだけれど、ゲームと都市伝説、無責任な噂から徐々に広がっていく不気味の物語りには、今のネットを生きる人たちにも現実感と生々しさをもって迫ってくると思います。

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