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去年のミミズク枠に入る作品と言えば、この作品がどのような内容かは分かっていただけると思います。
瀟洒で端正な文章、会話と細やかな稚気により組み立てられた非常に高い精度のユーモアセンス、そして時に肺腑の捩れそうな厳しさも含みながら、しかしとても優しい物語。
主流を外し敢えてキーポイントとなる男性のみを表紙に添えたデザインといい、これまで読んだ三作の受賞作品の中ではずば抜けて完成度が高く、また素晴らしいと素直にいうことに衒いを感じない一品でした。
中盤以降の展開を述べるとどのような形でも興を削ぐ形となるので詳しくは言いませんが、もし上の私の言葉を疑うならば、三十分ほどかけて立ち読みで丹念に第一章を読んでみてください。きっそのクライマックスと、そして続きを読むため、本を買わざるを得ない、そんな気持ちにさせられると思います。