『福音の少年 虹のウロボロス』[加地尚武/徳間デュアル文庫]

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この話を峻別すると、日常に地続きな部分で主人公が戸惑う前半と、世界的規模での騒動に発展して主人公が戸惑う後半の二つに分かれています。つまり主人公は全編戸惑ったままかよと言われそうですが、そうなのだからしようがない。


ただ、その変調の部分が非常にぎこちなく、引きずられるままにしてかなり雑な発展と収束の仕方をしていて、前二作に比べるとまとまりは悪くなっている気がします。前半の御厨家でのやり取りは、相変わらず頬が緩みそうになるほど楽しいんですが。


どうもこの作者、ほのぼのとした情景を書くのには長けているものの、真面目でシリアスな展開というのはあまり得手でないような気がします。とはいえこの世界観に惹かれるものがあるのも事実なので、引き続いて四巻以降も読み進めていきます。

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