『シゴフミ ―Stories of Last Letter 3,4』[雨宮諒/電撃文庫]

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ここからは3月に読んだ本の感想ストックからの放出です。ちなみにこのシゴフミは3/10前後に読みました。アニメを見逃してしまい、むしゃくしゃとして原作を読んだことは覚えています。



実に電撃らしくなく4巻できっちり完結したのですが、文伽たち配達員のバックグラウンドまで含め、かなり綺麗に纏まっていました。綺麗に纏まりすぎて、電撃裏があるんじゃね? と疑いたくなってくるくらいに(笑)


以下は3、4巻で印象に残った話を。


『嘘とオーロラ』――騙されやすい性格に悩む主人公が、深窓の令嬢の屋敷に忍び込み、という典型的なBmGの話。作品が作品なだけに最後は予想がついてしまうのだけれど、積み重ねと透かし方が上手くなかなかに独自性を出せていて良い感じでした。


『輝けるもの』――こういう話は大好き。死者が死者だけに死んでいても半ばコメディなのだけれど、散りばめられた謎を丹念に拾っていく展開は山谷の少ない作者にしては引っ張られるくらいに面白く、上手くオチもついていて完成度も高かった。幸せな気持ちになれる一編でした。


『Rainy Day』――シゴフミのもう一つの効用についての話。ネタバレなので多くは語りませんが、輝けるものの次でこの話は相当にやるせないものが。ラストのモノローグが素晴らしい。


『終わりの始まり』――文伽が初めてシゴフミを届けるその経緯と、配達人になるまでの物語。シゴフミが福音でも災厄でもない、単なるキッカケに過ぎないということを、複数の配達人の機微を通じて描いています。作者らしい痛々しいすれ違いのドラマの良質さも含め、全4巻の中じゃベストの出来じゃないでしょうか。


この話があるからこそ3巻末での沙音の絶望が響き、ラストの綺麗な結末にも関わってくる。そしてある意味、シゴフミという作品の集大成にも当たる話だと思います。



以下は簡単な総評。


これまでの作品[シュプルのおはなし、夏月の海に囁く呪文]では、話の作りが良くても華のようなものは薄かったように思えるのですが(仮面の男さんはそのような作話も嫌いじゃないのですが)、作品を通してメリハリのある作話が出来るようになった印象を受けました。


元々自力のある作家だし、今回のアニメ化を機にもっと目立ってくれれば良いのになあと仮面の男さんは思うのでした。とまれ全4巻、発売ごとに楽しく読ませて頂きました。



以下はおまけ、というより心の叫び。


これってアニメ版のノベライズって位置づけだったのか!


余韻良く4巻を読み終えてすぐ、あとがきを読んだ時の、仮面の男さんの偽らざる気持ちです。シュプルや夏日と毛並みはそう変わらなかったから、まさか原作つきとは思いも寄りませんでした。あるいは原作者の作風と近しいものがあったからこその抜擢だったのかもしれません。

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