『復讐者の棺』[石崎幸二/講談社ノベルス]

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流石にもう出ないだろうなと思った頃に、平然とシリーズ新作を出す石崎幸二。そこに痺れ(ry

そんなわけで、6年ぶりのユリ&ミリアシリーズ新作となる本著を読み終えたのですけれど、物凄くいつも通りの出来映え過ぎる。怖ろしいまでに色気のない中年と女子高生たちのノリツッコミ、その雰囲気に流されてしまいそうだけれどツイストが利いていて意外に良くできているトリック――ここまでファンを続けてこられた人間なら満足できるだろうという内容なのですが、そうでない人には……と思ったのですが、これまでのシリーズを読んで合わない判定を出した人が手に取るわけもなし、シリーズ第五作からいきなり買う人もいないから、シリーズのファン以外が手に取る可能性は殆どないのか。歪みねぇな。

作者もそれを見越しているのか、あれだけ時間を置いておきながら前作までの説明やフォローが殆どなく、当然のように前巻の三週間後から始まる展開。シリーズ全体に対する自虐的なメタ発言さえも飛び出して、まるで石崎幸二のシリーズ一問一答! みたいなノリの場面まであり、流石にフリーダム過ぎると思うのです。大好きですが。

しかしこれだけの褒め言葉を並べながら褒めてる感じがしないのが困りすぎる。そして他人に薦める気が毛頭起きない。いやうん、あまりに使い捨て過ぎる登場人物の死とか、人間が書けてない(笑)とか、以前読んだ北山猛邦の『ギロチン城殺人事件』みたくあらゆる方向で本格ミステリィへの愛が溢れまくってるんで、シリーズ未読なのを承知の上で本格覚悟完了! して読むのも良いかも。後悔しても知らないけど。

次こそなさそうですけれど、次の新刊も気を長くして待とうと思います。ええ待ちますとも。

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