気持ちは分からないでもない

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週末、仮面の男さんは例によって秋葉原を巡っていたのですが、ヨドバシ七階の本屋をうろうろしているうち、早川や創元など、海外ものと国内ものがほぼ半々に混ざって並んでいる区画についたのです。


すると二人の男性が坂木司の『動物園の鳥』を持って、話をしてるのですね。これ探偵が引きこもりでさ、などと既に読んだことのある男性がもう一人の男性に説明しており、同作者が割と好きである仮面の男さんは耳を欹てておったのですよ。


男A『探偵が引きこもりでさ、ワトソン役に物凄い依存しててさ。で、そのワトソン役がまた凄く感じやすい性質で、探偵が悲しんでるのを見るとぽろぽろ泣くんだよ。それがさあ……』


男B『ふんふん』


男A『これで二人とも男じゃなかったらなあ』



そこがツボに入ってしまい、噴きそうになるのを何とか堪えてその場を離脱、咳をする振りをして感情をいなしたのでした。


いやですね、仮面の男さんは正しく同じようなことを思ったわけですよ。探偵がヴィクトリカみたく女の子だったら男ヲタに対する破壊力凄くね? みたいなことを。


実際はどちらも男であり、まあご察しの通り、この引きこもり探偵シリーズは割合にそちら向けの人気が強いのですよ。


だからもし男Bが女Aだったら、えー男同士だから良いんじゃんみたいな反論が飛び、そこから怖ろしい論争が始まったに違いないのです、怖ろしいことですね。

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