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名前だけはかなり以前から知っていて、しかし何となく手にしそびれていた作者だったのですが、単巻でテキスト量も手頃だということもあり、気軽に手を取って、読んでみたのでした。
話自体は特に派手なわけではないのですが、平均的感性の持ち主ならばさらりと流してしまうことに敏感に反応してしまい、それでもけろっと生きていこうとして、でも子供だからそんなことはできないのだ――と。そのようなままならなさを時にはドライに、時にはウェットに描いていて、その危なげな少女加減が実に好印象でした。あとすっごくべったべたなんですけど、後半の猫泥棒を決意するところからその実行までの流れが特に素敵。
ままならなさに物語の端を発する、主人公の感じやすさを主にしているという点では坂木司辺りと作風が近い気がしました。私はこうみえても坂木司は割と好きなので、だからこの作者とも相性が良かったのでしょう。少女の精神的な感じやすさをきちんと書いた作品に弱いというのもありますけれど。
もう一冊文庫落ちしているっぽいので、こちらも読んでみようと思います。