なんだかすっかり歯抜けな更新となっているのですが、今しばらく、あと数日ほどで落ち着きそうです。
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少し凪いで来たので本屋を巡ってみると、ミステリが読みたいのランキングのポップが立てられていました。もうこんな季節なのかなと思いながら、気になるものだけをつらつらと上から追ってみました。
デニス・ルヘイン『運命の日』が一位。これは早川主催のランキングであることを差し引いても妥当でしょう。ルヘインの最高傑作では決してなく、ミステリとしても薄いけれど、在りし日の米国の残酷を赤裸々に描き出し、緊張の展開を貫いてみせた歴史サスペンスの傑作であると思います。
二位の『フロスト気質』は、まだ前作の『夜のフロスト』を読んでいないから未読。まずは夜から読まないといけない。シリーズは品行方正とは言えないけれど、事件の絡まり方と主人公の魅力で兎に角ぐいぐい読ませる内容。バッカーノの数倍も事態が縺れ紛糾し、何だか訳の分からないフロスト力(笑)で事が収まる所に収まっていくという。作者が計算して書いてるのか、有ミステリ者でもまごつかされるくらいの無秩序を秩序的に描いています。いや、どうやってこんなごちゃごちゃした話を書いてるんだろうね。
三位の『ザ・ロード』はハードカヴァだし、先送りかなあと思いつつ、コーマック・マッカーシーという名前に少しばかり思い当たる節があったので調べてみると『ノー・カントリー』の原作者か! この映画の原作である『血と暴力の国』は誉めてる人が多いから気になっていたのだ。まずは『血と暴力の国』から読んでみるとするか。
四位の『チャイルド44』は現在読み中。旧ソ連のスターリン政権末期から始まり《理想国家》の中で跋扈する連続殺人犯とそれを追う刑事の物語り。上巻の、疑心暗鬼と策謀のフルコースぶりが酷くてついつい連続殺人ものだということを忘れそうになってしまいます。
五位の『深海のYrr』はミステリー、SF、海洋小説、その全てを不足感なく描ききった大作。エコロジー関連の語りにやや決めつけや幼稚さはあるものの、それぞ除けば序盤の異変から中盤の転変、後半のコンタクトまで一気に読めるエンタメの傑作です。
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六位以降はまた改めて見直すとして――一つだけ、ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメイカー』は当然読んどくべきだぜ!――20位まででもう一つ気になったのがこれ。
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ギルバート・アデア『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』です。以前店頭で見かけたとき、何度か購入しようか迷った作品なんですよ。お前、それはマーガトロイドって単語につられただけじゃないかと言われればその通りと言わざるを得ないんですけど、書評を調べるとアガサ・クリスティの本歌取りを行った佳作であるとの感想がいくつもありました。クリスティと聞けば、仮面の男さんが手に取らない訳にはいかないのでした。
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以上、抜け抜けではありますけれど『ミステリが読みたい』のランキングについてあれこれと。ミステリについて書くと言葉が脳内にすらすら浮かんでくる辺り、やはり仮面の男さんはミステリ好きなのだなあという思いを新たにしたのでした。