『どちらでもいい』[アゴタ・クリストフ/早川epi文庫]

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以前に『悪童日記』を読んで以来、すっかりと虜にされてしまった作家による掌編集ということで、文庫落ちしたのを期に手を伸ばしてみました。

結論からいうと単独の掌編集というよりは、後に悪童日記以降の傑作を著するための、思考の踏み台といったほうが良いかもしれません。作者のもつ淡々として情感をあおる描写は十分に発揮されているのですが、荒削りだったり発想の段階で止まっていたりするものが多く、だから氏の他の著作――特に双子三部作(悪童日記、ふたりの証拠、第三の嘘)を読んでから、そのライナーノーツ的な意味で読むのが一番、含蓄深く楽しめると思います。

あるいはまず思索の断片として本著を読み、然るのち三部作を順番に読んでいくのも良いかもしれません。

きみ、新著の紹介に託けて三部作のほうを勧めようとしていないかと思った方、さっぱり大正解ですよ!

いや、この本は抜群に素晴らしいだけじゃなくてですね。これらを読めば双子キャラへの接し方、その読み取り方の精度が格段に増すんですよ。ミステリの添え物や、キャラ特性じゃない、本当の双子というものを描けるようになるんですよ。もうね、さっぱりさっぱりお勧めなわけですよ。

そんなんじゃ興味が沸かない? じゃあもっとアニゲー的に興味を持つであろう点を一文で語ってみますよ。この双子三部作はですね。

ブラック・ラグーンの、ヘンゼルとグレーテルの元ネタです。

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