Not in Employment, Education or Training
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日本ではもはや知らぬものがいないほどの知名度を得たNEETという単語ですが、上にある正式名称の通り、これは英国で『労働、学習、訓練のいずれにも従事していない若者』を差すイディオムとして使われており、労働政策を語るときにだけたまに現れる《重い言葉》でした。
しかしこの単語が日本に入って来て数年、その重たさはすっかりと消え、無職怠惰な人間を嘲るための、あるいは失職退職したことを笑い飛ばすための、とても《軽い言葉》になってしまいました。
国を超えれば、時を経れば、世俗にかき回されれば、言葉は変わるもので要するに『気づかいか氣ずかいか?』『じしんかぢしんか?』『」か。」か?』『貧乳か巨乳か?』なんて誰が最初に言い出したの? というようなものです。
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それにしてもニートは言葉として軽くなりすぎのような気がします。特に日本で再定義された語義に従うと、それこそ無為適当に使ってはいけない言葉のはずなのに、下手すると無職無学無労であることが一種のファッションにすらなってしまう危険性すらある。
かつて少女売春を援助交際という軽い言葉で置き換え、ファッションで売春に手を染める未成年者が現れたように。無計画な妊娠による結婚をできちゃった婚(今では授かり婚というもっと肯定的な言葉さえ使われているみたいです)という軽い言葉に置き換えることで、未熟な夫婦による問題が増加したように。ニートという軽い言葉を使うことで就労問題が適当な冗句程度の扱いになってしまいそうで、それはどうなのかなあという気がします。英国の定義でさえ強く問題視されているというのに、日本がニートという言葉を軽んじて良いはずがない。
そろそろニートという単語に元々の重たさを、あるいは重たさ以外のなにも感じられない単語で書き換える時期に来てるんじゃないでしょうか。ではどんな言葉が適当なのか提示できないのが無責任極まりないのですが。少なくともニートはファッションじゃないってことが分かるような言葉ですね。絶望三冠王とか思いついたんですけど現在日本で使われているニートと軽さではどっこいな気がする。キャッチフレーズ考えるのって難しいですねえ……。
コメント
絶望三冠王フイタw
真面目に考えてこれだからどうしようもないとしか言いようがありません。糸井重里って偉大なんだなあ。