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最早、自分自身でさえ何故読み続けているのか半ば分からないシリーズとなりつつあります。という冗談は半分ほどさておき。
この霧舎学園、金田一少年的ギミックたっぷりのミステリと恋愛ものを掛け合わせるというコンセプトで、十二ヶ月分発刊されることを想定として始められたシリーズなのですが。
恋愛ものとしてのセンスは無くも如き(あるいはその痛々しさ、痒々しさを楽しむシリーズであるのかもしれません)ですが、ジュブナイルもののミステリとしては割とよく出来ており、文章だけでなく色々な仕掛けを作中に凝らし、ページ数は少ないながらも外連味の利いた謎と回答を見せてくれるので、なかなか楽しく読めるシリーズであるのでした。
その点で言えば九月の話も充実しており、暗号というテーマをこれでもかというほど盛り込んだ内容で、何のために暗号が使われるのかという点も事件や犯人に上手く絡んでいて、強引すぎる落とし方まで含め、作者らしい造りになっていました。
不満を言うならば、名探偵を想定した犯人というメタギミックに少々頼りすぎていたところでしょうか。新本格にはそういう作品も結構あるのですけれど、プリクラ暗号の謎解きの詰め辺りで苦笑いが……まあ霧舎クオリティの範疇内ではあるのですが。