『マハラジャのルビー』[フィリップ・プルマン]

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流石に半月飛ばすと文章感覚そのものが鈍ってくるので、リハビリがてら読んだ本の紹介を。しばらくは短文の、一行感想に近い形になります。

昨日づけで読み終えたのが、ライラの冒険シリーズで有名なフィリップ・プルマンによる冒険ものシリーズの第一弾、マハラジャのルビー。

ヴィクトリア朝の風俗、時代がかった謎、ディケンズ風の登場人物の織りなす物語で、後半少し駆け足な気がしたものの、主人公であるサリーの魅力と、サスペンスフルな展開で楽しめました。遺産相続、貿易に絡む悪、殺し屋の暗躍などとやや子供じみた筋立てが多いのですけれどYA小説ですし、プルマン流の子供にトラウマでも植え付けたいのかと言わんばかりの、暗く残忍な場面は本著でも割合に健在です。だからこそサリーがその細身で立ち回り立ち向かうさまがより華だって見えるのですし、ラストの感動もひとしおなのですが。

あとは何と言っても今回の敵方、ミセス・ホランドの正しく妖婆といって良い、不思議な威圧感が強烈。あそこまで行動的な老人も珍しく、最後はそれ故に身を滅ぼしてしまうのですが、同情的な主人公をして醜悪の一語しか見出せなかったその悪党ぶりは、逆に気持ち良いくらいです。ライラのコールター夫人もそうだけれど、女の悪を描かせると卓抜してますね。

あとがきにもあるよう、本著は英国のBBCによって以前にドラマ化されたのですが、2008年秋にCSを始めとして日本でも公開される予定のようです。荊の城と同様、実家で録音してもらおうかしら。

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