『わが愛しき娘たちよ』[コニー・ウィリス/ハヤカワSF文庫]

Misskey Mastodon

名ストーリーテラーと評判の高い作品による初期短編集が復刊――ということで再版部発売日周辺に購入した記憶があるんですけど、もったいなくてなかなか手をつけられませんでした。が、ふらっとコニー・ウィリス読みたいという気持ちになったので棚から取り出しすすいと読み終えました。


公開当時、色々と物議を醸し出した表題作なのですが、いちはちきんえろげというジャンルのカオスぶりを知っているので、読み終えて一番最初の感想は『エロゲ乙』でした。で、解説を読んでもっと真面目に読み取ろうとしたのですが、結局頭を過ぎったのはコニー・ウィリスほどの作者がそのねちねちとしたストーリーテリング力を全開にして釣りをするとここまで強烈なものができるのかといったところでした。いや、真面目に考えてはみたんですよ? でも結局、私にしてみれば米国でセンセーションを巻き起こしたということ自体、意外としか思えませんでした。穢れてるなあ、自分(笑)


とまれ、コニー・ウィリスが書くとどんなジャンルでも『ジャンル:コニー・ウィリス』としかならないことを実感した一冊でした。SFからホラーからコメディまで、一貫して一つの方法論で書いてどれも面白いってどれだけ化け物なんだよ……作家的に……。


なかでも特に気に入ったのは、王道一直線な時間ものSF『見張り』(公開はこちらが先だがドゥームズデイ・ブックの後日譚となっている)と、搦め手にも程があると言いたくなるくらいの錯綜型コメディ『月がとっても青いから』でしょうか。前者はできればドゥームズデイ・ブックを先に読んでいた方がより楽しめるので、先にそちらを読んでおくことを推奨しておきます。

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